円滑に進める会話術とは

介護や福祉に携わる人は、利用者の生活を支える専門家である。そのため、利用者やその家族から見れば、介護職はとても頼りになる存在であると同時に、その指示には従わざるを得ないという強制力もある。
特に、施設においては、その傾向が顕著だ。そのため、介護職が何気なく指示したり、お願いしたりすると、相手にはその一言が威圧的に聞こえたり、冷たく響いたりするものだ。それは、ある意味仕方ないことでもあるが、利用者と介護職には溝があるということを理解し、利用者やその家族に伝えるべき内容はきちんと伝えると同時に、いたわりの気持ちを届ける仕事の仕方を考える必要がある。
ポイントとしては、命令的に聞こえないように依頼形で話すことだ。たとえば、書類に何かを書いてもらう際、ここにお名前をお書きくださいという言い方は、言葉遣いとして間違ってはいないが、冷たい響きは否めない。そこで、感じよく伝えたいのであれば、こちらに、お名前をお書きいただけますかと表現すれば、へりくだった表現で相手への尊重の気持ちをあらわすこともできる。これが、依頼系の会話である。
ほかにも、こちらに来てくださいではなく、こちらに来ていただけますか、お待ちくださいではなくお待ちくださいますかに変換することが可能だ。利用者に行動してもらう時、感じの良い表現のポイントは、このような依頼形を使うことだが、これをさらに丁寧に表現する方法もある。こちらに来ていただけますかという言葉に、申し訳ありませんや恐れ入りますという一言を加えると、響きはさらに違ったものになってくるだろう。
このような表現法で、利用者やその家族にいたわりの気持ちが優しく響き、仕事上良い関係性を築くことも可能となるだろう。